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Question


[資金調達]
Q01 銀行から融資を受けやすいタイミングというものがあれば教えてください。
Q02 銀行へ融資の申込みをすると、資料の提出を求められることがあります。その場合、自社内で作成できる人材がいません。どう対応したらようでしょうか?
Q03 銀行に融資の申込みをして、承認に向け手続処理をスムーズに進めるために気をつけることがあれば教えてください。
Q04 銀行の融資審査のポイントについて教えてください。
Q05 赤字企業でも融資を受けられるのでしょうか?

[銀行融資の申し込み]
Q06 銀行員が欲しがる資料とは、どのようなものですか?
Q07 銀行への提出資料で気をつけることはどのようなことですか?
Q08 銀行に融資を申し込みたいが、どういう準備をしてどういう手順を踏んでいけばよいのでしょうか?

[決算書・経営計画]
Q09 信用格付けアップのための決算書対策には、どのようなものがあるのでしょうか?
Q10 最近、銀行との融資取引においては決算書が重要視されていると聞いています。そこで、多少の粉飾決算をしてでも黒字をだして融資を受けたいと思いますが、いかがなものでしょうか?
Q11 銀行に融資を断られないための決算書とは、どのようなものでしょうか?
Q12 先日、銀行に融資の申込みをしたところ事業計画書を提出するよう要請されましたが、そういうものは当社では作成したことがありません。どのように作成すればよいのでしょうか?
Q13 銀行が納得する経営改善計画書はどのように作ればよいのでしょうか?

[銀行交渉]
Q14 銀行との融資取引全般について、銀行と交渉する際に注意すべき点について教えてください。
Q15 政府系金融機関に融資の申込みをしたところ、指定された資料を持って面接に来るようにとの連絡がありました。その際の注意すべき点について教えてください。
Q16 保証協会や国金など公的金融機関の返済が滞ってきた場合、どのように対応すればよいのでしょうか?
Q17 資金繰りがきつくなってきて、銀行への返済ができそうにありません。銀行にその旨を話すべきかどうか迷っているのですが、どうすればよいでしょうか?

[銀行との付き合い方]
Q18 銀行の担当者は転勤等でよく交代しますが、中にはムシの好かない人、能力面でどうかと思われる人など当社にとってマイナス効果しかないと思われる人がいます。こういう人にはどう対応すればよいのでしょうか?
Q19 銀行の担当者にはノルマがあって、3月・9月の決算月等に様々な項目(投資信託やクレジットカードなど)の協力要請があります。これにはどう対応していけばよいでしょうか?
Q20 銀行の担当者やその上司の方も、転勤や最近では支店の統廃合などで本当によく交代されます。慣れてきて当社のこともよくわかってもらってきたなと思った頃に交代します。また一からかと思うこともしばしばですが、何かよい対策はありますか?

[銀行から借りたいときに借りたいだけ融資を受けるために]
Q21 銀行から借りたいときに借りたいだけ融資を受けるために ~ 具体的ポイント その1
Q22 銀行から借りたいときに借りたいだけ融資を受けるために ~ 具体的ポイント その2
Q23 銀行から借りたいときに借りたいだけ融資を受けるために ~ 具体的ポイント その3
Q24 銀行から借りたいときに借りたいだけ融資を受けるために ~ 具体的ポイント その4
Q25 銀行から借りたいときに借りたいだけ融資を受けるために ~ 具体的ポイント その5
Q26 銀行から借りたいときに借りたいだけ融資を受けるために ~ 具体的ポイント その6
Q27 銀行から借りたいときに借りたいだけ融資を受けるために ~ 具体的ポイント その7
Q28 銀行から借りたいときに借りたいだけ融資を受けるために ~ 具体的ポイント その8

[銀行から融資を受けにくい時代の注意点]
Q29 銀行への融資申し込みから実行までの注意点


Answer

Q01 銀行から融資を受けやすいタイミングというものがあれば教えてください。

A01 銀行から融資を受けやすいタイミングは、次のようなときです。

1.
銀行の決算月である3月と9月
銀行の予算は、3月と9月を期末として6ヶ月単位で組まれています。

融資量についても6ヶ月単位の予算を達成すべく、期末月に最後の追い上げにかかります。


そこで銀行は、業況や財務内容等で不安のない先には融資の押し込み推進を行なって、なんとか融資量のかさ上げを図ります。

業況がまずまずの先であっても、比較的受け入れられやすいタイミングだと思います。

2.
自社の決算内容が好転した直後
通常、借入先の企業においては税務申告後、銀行に決算書を提出します。

その決算内容が、格付けアップされるようであれば言うことなしですが、そこまでいかなくても前期に比べ好転していれば銀行サイドの心証も良く、融資申込みのタイミングとしてはグッドです。

3.
借入金の返済がある程度すすんだ段階
たとえば5年返済で調達した運転資金であれば、2年半~3年程度返済がすすめば、借り換え融資として受け入れられやすいタイミングです。

                                             ↑質問に戻る


Q02 銀行へ融資の申込みをすると、資料の提出を求められることがあります。その場合、自社内で作成できる人材がいません。どう対応したらよいでしょうか?

A02 ういった場合は、当事務所等の専門家に依頼してください。

我々専門家は、銀行内部で作成される
融資稟議書に精通しており、それに沿った資料作成ができます。
したがって、それを提出しますと、銀行担当者としては自分で作成する手間が省け、またニーズにもぴたり適合しているため非常に喜ばれます。

そして、申込んだ融資案件の銀行内部での起案~承認までの手続きがスムーズに進むことになります。


一方で、そういった資料の作成を顧問会計事務所に依頼されるケースがよくあります。

しかし私の経験から申しますと、そういった事務所は税務申告面は当然のことながら堪能ですが、本件のような資料作成には不慣れ、あるいはツボを心得ておられず、依頼した資料については、実態とかけ離れた単なる数字合わせにすぎないシロモノになっているということがしばしばありました。

こういう資料を銀行に提出しても、逆効果であることは当然です。


銀行から資料の提出を求められた場合、自社内で作成できればそれにこしたことはありませんが、外部に頼らざるを得ない企業は、依頼する先を充分に検討された上で依頼されるようお勧めします。

                                                                                                                       ↑質問に戻る


Q03 銀行に融資の申込みをして、承認に向け手続処理をスムーズに進めてもらうために気をつけることがあれば教えてください。

A03 銀行に融資の申込みをした後、その融資案件の難易度にもよるのですが、まずある程度の日数が経ったら、銀行の担当者に案件の進み具合はどうか探りを入れてみることです。

それによって銀行の
取り組み状況、担当者にその気(案件を通す)があるか否か、案件の問題点は何か等が探れます。

問題点に対しては素早く対応して、その解決に努めなければなりません。

つぎに、融資申込をした後、途中で追加資料を要請される場合があります。

その追加資料は新たに作成する必要があるものと、既存のものの写しで済む場合の二通りに分かれます。

問題は、新たに作成しなければならない場合です。

銀行から提出を求められた
趣旨を汲み取り、的確に作成する必要があります。

ここが融資を受けられるかどうかのキーポイントで、腕の見せ所でもあるのですが、いずれにしても時間をかけずに
スピーディーに対応することが大切です。

                                                                                                                      ↑質問に戻る


Q04 銀行の融資審査のポイントについて教えてください。

A04 行の融資審査は以下のような項目にそって、総合的に判断されます。

1.
業況見通し・財務内容
  貸せる先か否か。業況は現在イマイチだが、好転する材料はあるのか。

  財務内容は健全か、あるいは許容できる範囲内か。

2.
資金使途・申込金額
  今回申込みの資金は何に使うのか。

  また、申込金額は調達内容や資金繰りから判断して妥当か。

3.
返済原資・返済見通し
  今回申込みの融資はどのようにして返済するのか。

  返済原資は利益、売上金、あるいは資産の売却金などのうちどれか。

  また返済の確実性について見通しはどうか。

4.
担保・保証人
  銀行の見方としては、担保・保証人には依然根強い依存度があります。

  ポイントは、無担保部位をどう判断するかということになります。

  たとえば、「これ位の無担保与信は、この企業の現況あるいは先行き見通しから不安なき
  ものと考える」となればOKなのですが、逆に懸念ありとなれば、追加担保や追加保証人の
  要請となります。


                                                                     ↑質問に戻る


Q05 赤字企業でも融資を受けられるのでしょうか?

A05 赤字企業の場合、はっきり言って、融資を受けるのは難しいです。

と申しますのは、赤字企業には
返済原資がないからです。

銀行として躊躇するのは、赤字企業からの融資申込みに対して安易に対応すると、その融資金が赤字補填資金として死に金になりかねないからです。

したがって、より慎重になるのは無理もない面もあります。

一口に赤字と言っても、以下のように様々なケース・程度があります。

   ・
たとえば固定資産の売却損など一過性の赤字か、あるいは慢性的な赤字体質か
   ・
大幅赤字か、あるいは小額で軽微な赤字か
   ・
繰越損失があるのかどうか


いずれにしても企業サイドとしましては、銀行に対して
赤字解消=業況改善の見込み対策を「経営改善計画書」として提出し、承認してもらう必要があります。

この成否が以後の融資取引の展開に大きく影響してきます。


これが不調に終わった場合、以後の融資は

   ・担保の範囲内
   ・支払人が確実な先に限定した割引手形
   ・返済原資が確実なつなぎ融資

などのごく限定されたものにとどめられることになります

                                                                                               質問に戻る


Q06 銀行員が欲しがる資料とは、どのようなものですか?

A06 銀行に融資の申し込みをしてOKの返事をもらうには、銀行内部で自社の担当者が稟議書を作成して関係上席者に回し、最終的に決裁権限者の承認を得なければなりません。

この稟議書作成の出来・不出来が融資の行方を大きく左右するわけで、言い方をかえれば、担当者の腕の見せどころでもあるわけです。

いずれにしても、融資申し込みをした企業サイドとしましては、
担当者が早く稟議書を仕上げてくれるようまたその出来ばえが良くなるように協力することも必要になってきます。


ところで、銀行に融資の申し込みをする際に提出しなければならない資料としては、つぎのようなものがあります。
 (必須の3点は融資申し込み時ではなく、定期的に提出しておくことが大事です)

   ○必須
       ・試算表
       ・資金繰り表
       ・銀行取引一覧表

   ○ケースによって必要なもの
       ・設備資金の場合         -  見積書・契約書等
       ・業種が建設業などの場合  -  工事請負契約書
       ・つなぎ資金の場合        -  返済原資を裏づけられる
                              受注書など


 以上のほかに、
これが重要なのですが、

      
 ・自社の現況
       ・資金使途についての具体的な説明
       ・資金が必要な理由とその効果


 などを簡潔に記した任意な資料が必要です。

たとえば、現在の業況は試算表で計数の把握はできるのですが、銀行が知りたいのは、その内容です。

わかりやすい例で言えば、売上は前期比20%伸びている、あるいは20%落ち込んでいる、といったようなことは試算表を分析すればわかるわけですが、その要因は一体何なのか、業況が悪いのであれば対策はどのような手を打っているのか、というようなことを銀行は知りたいわけです。

また決算直前であれば今期の最終見込み計数とそのコメントが、決算直後であれば前期実績の要因、次期(今期)予想・計画の数値とコメントが必要になってきます。

なぜ必要かと言いますと、担当者が稟議書のなかでそれらを記載して、申し込みのあった企業の返済能力は大丈夫だと、うたわなければならないからです。

今回のテーマである、銀行員が欲しがる資料とは、かゆい所に手がとどくこれらのことをいっているわけです。


現在、銀行の担当者の担当企業数は、一昔前と比べ2倍・3倍に膨れ上がり担当者の仕事振りは、多忙をきわめています。

そうした中で、もともと時間・労度がかかる稟議書作成は、できるだけ手間をかけずに効率よく済ませたいと思うのが、担当者の率直な心情です。

稟議書の作成に役立つ、できればそのまま使える資料がタイミングよく企業から提出されますと、担当者は嬉しくなって俄然やる気がわいてきます。

そして、その融資案件を何とか早くものにしてやろうと気合も入るわけで、顧客企業側からみれば効果絶大です。


逆に、非協力の場合はどうでしょうか?

先にふれました必須の3点すら提出されていないようでは、話になりませんが、それ以下の資料を担当者が必要に迫られて提出要請してきた場合、ポイントをはずさずに手際よく作成して、素早く提出することが肝要です。

ここでもたついて提出が遅れますと、担当者のやる気も失せ、稟議書作成が停滞してしまいます。
ということは、銀行からの融資可否の返事が遅くなるということにつながるわけです。

 
以上のように、
稟議書を作成する銀行の担当者への協力度合いは、結果的に自社にはね返ってくることをよく認識して、イザという時に間に合うような日頃からの準備が大事です。




                                                                       ↑質問に戻る



Q07
銀行への提出資料で気をつけることは、どのようなことですか?

A07 銀行の担当者が融資稟議書を作成する際に心がけていること、またそれは担当者が上席者からよく注意されることなのですが、

       
 ○簡潔明瞭、箇条書きに
        ○できるだけ表を用いたりして、数字で具体的に

 
といったことを常に意識しています。


したがいまして、企業から銀行に提出する資料もこれにならって出来ていれば言う事なしなのですが、実際はそう上手くはなっていません。

よく経理ご担当の方が書かれた資料を拝見するのですが、この辺の要領をご存じないこともあってか、表現が悪くて失礼ですが、ダラダラと日記風に文章を綴られています。

一生懸命に書かれている姿は想像できるのですが、読み手の立場で申しますと、非常によみづらいものです。
ご留意ください。


もう一点、銀行への提出資料で気をつけることは、

        
各資料の整合性に注意する

ということです。

具体的に申しますと、

 ・ある月の長期借入金残高は、試算表では1億円であるが、銀行取引一覧表
  では9,000万円になっている

あるいは

 ・向こう6ヶ月の資金繰り計画で、毎月の売上計画(発生ベース)を合計
  すると5,000万円だが、それが入金になる各月の入金額を合計すると
  7,000万円にもなる

というような例です。

このような資料を読んだ銀行員の心情は、

 「どれが本当の数字で、どれが間違いなんだ?」
 「この会社の事務レベルはこの程度なんだ。気をつけないといけないな」
 
となります。

ちょっとした不注意で、自社の事務・管理能力を疑われ、銀行からの信頼度もぐっと落ちます。


銀行への提出資料では、
整合性、すなわちツジツマが合っていることが大事です。

提出の前にはよく見直して、イメージダウンにならないように注意しましょう。



                                                                                                                    ↑質問に戻る



Q08 銀行に融資を申し込みたいが、どういう準備をしてどういう手順を踏んでいけばよいのでしょうか?

A08   今回のテーマは、既に取引がある銀行以外の、新たな銀行に融資を申し込む場合の準備と
  手順についてお話したいと思います。


 既に取引がある銀行への融資申し込みにつきましては、皆さんは幾度となく回数も
 こなされ、一応の準備と手順を心得ておられるのではないかと思います。

 一方、新たな銀行への融資申し込みは、それなりの準備と手順が必要になってきます。

 まず、新たな銀行との出会いのきっかけですが、今回のお話は銀行からのアプローチ
 ではなく自社から申し込むケースですので、

   ・自社からこれはと思う銀行に出向き、融資を申し込む
   ・取引先や知人などの紹介を受けて、融資を申し込む
 
 の2とおりが考えられます。


 しかし、実際問題として、取引のない銀行へ飛び込み訪問して融資を申し込んだ場合、その
  融資の実現性はいかがなものでしょうか?

 これは常識問題の範ちゅうですね。

 飛び込み訪問を受けた銀行側の心理は、「この企業は、なぜウチに飛び込みで融資を申し
  込みに来たんだ?」と、非常に警戒心を強めます。

 現実にこういった飛び込み訪問での融資申し込みは、きわめてマレですし、
 行なったとしても、希望は持てません。


 ただし、
政府系金融機関の場合は、ちょっとニュアンスは違ってきます。

 政府系金融機関は、民間金融機関の「補完」的役割りを目的としていますので、問題を抱え
  た企業の 飛び込み訪問の融資相談・申し込みはOKです。というよりも、それが本筋の申込
  ルートとなります。

 (問題とは、民間金融機関の貸し渋り・貸しはがし、社会的影響力の大きい大型倒産の被害
  を受けた、などの場合です)


 さて、もう一つの、
[取引先や知人などの紹介を受けて、融資を申し込む]これが新たな銀行
  に融資を申し込む際の、有力な手段となります。

 以下、この場合の準備と手順について述べていきます。


 まず、紹介者にアポイントをとってもらい,できたら同行してもらって銀行を訪問する際に持参
  すべきも のですが、

   
・自社の概要がわかる資料  (会社案内、ホームページのコピー、取扱
                                      製・商品のカタログなどがあれば最適ですが)

   ・申込融資の内容・希望条件 (金額、資金使途、融資期間、返済方法等)

   ・なぜ新たな銀行との融資取引が必要なのか、その理由について


 以上を簡単に書面にして持参しましょう。



 特に3番目が重要です。


 既取引行との取引が順調であれば、新たな銀行を探す必要はないはずです。

 新たな銀行側の立場に立ってみますと、この点を非常に重要視します。
 そして、
「既取引行との間に何か問題があってウチに申し込みに来たのかな?」と勘繰る
  気持ちがまず働きます。

 「問題の移し替えはかなわない」わけで、現実にそういった動機での新たな銀行探しは上手
  くいきません。

 
新たな銀行が納得する、道理にかなった、もっともな理由がなければならないのです。


 
たとえば、
 
   ・自社の業容が拡大しており、資金調達の窓口を増やす必要がある

   ・既取引行で支店の統廃合があって、取引支店が遠方になってしまった

 
などです。

 まちがっても、既取引行との間で何か問題があってトラブッテいる、あるいは自社の業績が
  低迷してい て、既取引行が相手にしてくれなくなった、などが理由であれば、その申し込み
  自体非常に危ういもの となります。



 こうして、取引のない企業から新規融資の申し込みがありますと、銀行側ではそれと前後し
  て、大手信用情報機関による申込企業の企業情報を入手して、企業の概要を把握します。

 これと、申込企業の訪問を受けた際の話・申込内容や資料をもとに、店内事前協議会を開
  いて、この申込融資をどうするか検討します。

 断わるのか、前に進めるのか。

 その検討結果、ゴーサインがでますと、銀行から稟議書作成に必要な書類一式の提出要請
  があります。

 その内容は、

   
 ・企業概況書類 - たいていは銀行が自行内で使用する、稟議書に添付
               する企業調書一式で枚数は多いです。
               「わかる範囲で、できるだけ記入してください」と言ってきます。

    ・決算書類3期分程度 - 税務申告書類、附属明細書付きです

    ・その他銀行が必要と考える書類 - たとえば代表者の資産・負債の明細など



 
ここが一つのポイントになるのですが、こういった提出書類の要請があった場合、1日でも早
  く提出する にこしたことはないわけで、自社の作成能力を加味し、出来るだけ前倒しして、
  「~日までには提出します。それでよろしいでしょうか?」と提出期限を明確にすることです。


 
もうこの段階で、企業審査は始まっています。
 申込企業の資料作成能力が問われているのです。

 ここでもたついてしまうと、身構えている銀行担当者たちの気分は間延びしてしまい、印象が
  悪くなります。

 出だし段階から悪印象を持たれないよう、素早く作成して期限を切った日までには必ず提出
  することです。

 新規取引開始に伴なう提出要請書類は、かなりのボリュームになりますが、これらが提出さ
  れて、はじ めて銀行内部では稟議書作成にとりかかれるわけです。


                                                                                                                     ↑質問に戻る



Q09 信用格付けアップのための決算書対策には、どのようなものがあるのでしょうか?

A09 行が借入先の信用格付けを行なう方法は、通常、提出された決算書にもとづいて行なう「定量評価」と、数字で表れない部分を評価する「定性評価」の二本立てです。


今回のご質問は、そのうちの前者に該当するもので、銀行は借入先から提出された決算書を分析・加工して、様々な角度から評価・評点していきます。

その中で特に評価配分が大きいのが、「安全性」と「債務償還年数」に関する項目です。

では日々の経営活動の中で、何をどうしていけばよいのか、以下に主要科目と評価を上げるポイント及び検討事項を簡単に示しておきます。

自己資本 ~ より大きく
   代表者からの借入金があって、当面返済の必要がない場合は、それを資本金に組み入
   れる。

経常利益 ~ より大きく
   特別利益に計上したもので、内容から考えて経常利益段階(営業外利益として)に計上
   できるものはないか。

借入金 ~ より小さく
   遊休資産等、営業活動に支障をきたさない資産は売却して、借入金の返済に充当する。

支払利息 ~ より小さく
   自社の実質金利を算出して、借入金利と比較・検討してみる。算出の結果、実質金利が
   世間水準より高ければ、銀行の収益に貢献大であり、借入金利引下げ交渉の余地がある
   といえるでしょう。

                                                                                                                       ↑質問に戻る



Q10 最近、銀行との融資取引においては決算書が重要視されていると聞いています。そこで、多少の粉飾決算をしてでも黒字をだして融資を受けたいと思いますが、いかがなものでしょうか?

A10 そのお考えは、改められた方がよいと思います。

まず銀行においては、借入先より提出された決算書を時系列的に分析するシステムが整っていて、大抵の粉飾は見破れる、あるいは異常マークがついて追求の指示がでるようになっています。

通常考えられる粉飾の手段である在庫の水増し、架空売上、翌期分売上の前倒し、当期分仕入の翌期へのずらし、減価償却の(一部)未実施等は「
キャッシュは嘘をつかない」という言葉もありますが、分析比率に異常数値を発生させます。

したがって銀行としましては、その解明に全力を注ぎます。

借入先の粉飾を銀行が見破った場合、当然、銀行の借入先に対する
信頼感は損なわれ、以後の融資取引に大きく影響してきます。

そして、借入先がその失われた信頼を取り戻すのは、並大抵ではありません。

銀行の担当者も人の子です。

借入先が、現在たとえ業況が今一歩でも、必死に頑張っている姿を見て感動し、「この企業のために何とか一肌脱ごう」と思うかもしれません。

急がば回れです。粉飾という姑息な手段を考えるより、
正道を歩まれることが大前提です。

                                                                                                                       ↑質問に戻る


Q11 銀行に融資を断られないための決算書とは、どのようなものでしょうか?

A11 銀行から融資を受ける際、決算書が従来にもまして重視されるようになりましたが、最低限クリアしておかなければならない決算書の条件としては、以下のようなものがあげられます。

1.
黒字であること
黒字であるか、赤字であるかの差にはやはり大きなものがあります。

小額であってもやはり黒字であることが大切です

2.
粉飾がないこと
意図的・作為的な粉飾は論外です。

これが判明した時点で銀行との信頼関係はなくなり、その回復には多大な時間を要すること、あるいは取引解消に至る場合もあると覚悟しておかなければなりません。

3.
改善に努力した跡がみられること
粗利益率のアップ、固定費の削減、借入金の削減等業況や財務内容の改善に努力したこ とがうかがえると、銀行としても何とか融資の申込みに対して前向きに取り組もうという気が起こるものです。

                                                                                                                      ↑質問に戻る


Q12 日、銀行に融資の申込みをしたところ事業計画書を提出するよう要請されましたが、当社ではそういうものを作成したことがありません。どのように作成すればよいのでしょうか?

A12 あらたまって身構えずとも、事業計画書とは社長の頭の中に常にあるビジョンを、具体的に表現したものとして取り組まれたらいかがでしょうか。

たとえば、期間3年程度の中期事業計画ですと、
   ○社長の経営方針・経営理念など

    ○
経営目標 ~ 3年後にはこんな規模、こんな会社になりたいという目標
      例:年商○○億円、店舗数△△店、etc

   ○3ヵ年の年次数値計画
      売上・利益計画、資金繰り計画(初年度は月次計画も必要)

以上のような内容を盛り込んで作成してみましょう。



融資の申込みにあたって、銀行が事業計画書の提出を何故要請するかと言いますと、銀行は申込案件の返済の確実性をその事業計画書によって確認したいからです。

また融資申込みの資金使途が設備投資の場合、事業計画書の提出は不可欠です。

何故かと申しますと、設備投資の場合、下手をすると経営の根幹にかかわる重大な事態にもなりかねないからです。


したがって、より慎重・綿密な計画が求められます。

                                                                                               質問に戻る


Q13 銀行が納得する経営改善計画書はどのように作ればよいのでしょうか?

A13 借入先が赤字である、繰越損失がある、あるいは債務超過であるなど業績が低迷していたり、財務内容が悪化している場合、銀行は適宜、経営改善計画書の提出を求めます。

その理由は、改善計画書によって自行が支援している融資金の返済の確実性を確認したいからです。

したがって借入先である企業サイドとしましては、返済能力が充分あることを示して、銀行の納得・安心を得る必要があるわけですが、ポイントは返済能力が充分だといえる返済原資=
キャッシュフロー(税引き後利益+減価償却費)が計上できるかどうかです。

経営改善計画書作成の手順を示しますと、以下のようになります。

○SWOT分析
自社の
強み・弱みを明らかにするとともに、外部の経営環境につきましても、機会(ビジネスチャンス)と脅威(競争条件など)を検討する。
                                                             ↓
○経営上の課題や問題点の改善に向け社内で論議し、できうる限りの
具体的施策をまとめる。
                                                             ↓
○具体的根拠に裏づけられた
数値計画を作成する。

右肩上がりの計画が、決して良い計画ではありません。いかに
実現性が高く、妥当性があるかということです。

                                                                                             質問に戻る


Q14 銀行との融資取引全般について、銀行と交渉する際に注意すべき点について教えてください。

A14 銀行というところは書類主義であり、融資の決定は稟議書(担当者が起案し、順次上席者に回して最終権限者が決裁する制度)に基づいて行なわれます。

また銀行は
タテ型組織の典型で、担当者は何の権限もありませんが、管理職はこと細かくその職務ごとに権限が定められています。

以上のような銀行という組織の主な特徴を踏まえて、銀行と融資全般について交渉する際の注意点をあげますと、以下のようになります。

1. 交渉においては、常に銀行からの回答を待つようにして、こちらが追い込まれないこと
    キャッチボールに例えると、ボールは常に銀行に投げ返しておくことです

.  書類の提出や返事は期限をきって、且つ定められた期限は必ず守ること
    期限以外の約束事もそうですが、その履行度合いは、銀行からみると信用の目安となりま
     す。(「この先は約束をきっちり守る堅実な先だ」)

3. 
具体的数値で話をすること。あいまいな表現は誤解の元です
    先に述べましたが、銀行の融資関係書類は数字が主体です。その意味からも交渉は数字
   で話をしましょう。

4. 
銀行とは対等の関係だと認識して、決してこびたり卑屈にならないこと
   そのためには、見栄を張ったり、できない約束をしたりしないことです。


                                                                                                                       ↑質問に戻る


Q15 政府系金融機関に融資の申込みをしたところ、指定された資料を持って面接に来るようにとの連絡がありました。その際の注意すべき点について教えてください。

A15 金融機関の面接の目的をあげますと、以下のようになります。

1.指定された持参資料は、当座預金の出入り表か普通預金通帳の写し、売掛帳・買掛帳、事業計画書などだと思います。

これらから金融機関は借入先の
営業実態を把握し、またその中に異常数値がないかも調べます。

2.借入先社長の事業に賭ける熱意や姿勢はいかほどのもので、この人なら
大丈夫だと確信できるか否かを面接によって見極めようと努めます。

3.融資申込
案件の内容確認で、申込書記載事項と本人の言葉や表情などから、融資申込内容の妥当性および虚偽や誇大がないかなどの確認をします。


以上のような面接の目的を踏まえた、面接を受ける側である企業サイドの注意点は次のようになります。

1.カネを借りる弱い立場だと卑屈にならないこと。
正々堂々とした言動に努めることです。

2.事業に賭ける
意欲・情熱を熱く語ること。しかし多弁(しゃべりすぎ)、虚飾(見栄張り)はタブ-です。

                                                                                                                       ↑質問に戻る


Q16 保証協会や国民生活金融公庫など公的金融機関の返済が滞ってきた場合、どのように対応すればよいのでしょうか?

A16 保証協会や国民生活金融公庫などの公的金融機関は、公的資金を貸出(ないし保証)原資として運営されているため、安易に焦付き債権をだせない、また安易に貸倒償却できないといった使命を負っています。

そういう背景があるため、公的金融機関を利用している借入先において返済に支障がでてきた場合、ある面、相談に乗ってもらいやすいともいえます。

しかし、くれぐれも注意しなければならないのは、企業サイドの心構え・姿勢です。

ただ単に、「返済が苦しくなってきたので、何とかなりませんか」では話になりません。


リスケ対応(返済条件の変更)をしてもらいたいのであれば、公的金融機関にとってもらいたい措置、その間に実行する自社の経営改善計画等を、できうる限り具体的に検討した上で書面で提出し、相談に乗ってもらうようにすべきです。

要するに、安易な考え・姿勢は慎んだ上で、積極的に相談すべきだということです。

                                                                                                                       ↑質問に戻る


Q17 資金繰りがきつくなってきて、銀行への返済ができそうにありません。銀行にその旨を話すべきかどうか迷っているのですが、どうすればよいでしょうか?

A17 この場合、銀行に返済ができそうにないことをだまっていてその場をやり過ごし、後々得をすることは何もありません。

ただ
困難を避けているだけといえるでしょう。

銀行との融資取引において、約定返済は非常に大きな重みを持っています。

履行されて当たり前のことなのですが、当たり前のことが履行されないと、銀行にとっては面倒な先になります。


勇気をだして、事前に窮状を説明して善後策を協議するのと、片や何のアクションも起こさず、じっと身を縮めていて、遂には銀行が業を煮やして督促にやって来るのとでは、雲泥の差があります。

銀行というところは、組織で動くところです。

自社の担当者の銀行内での立場も配慮して、
良くないことの相談・報告は早めに行なうことです。

そうすれば担当者の面目も立って、自社にとって先々有利な展開が期待できることにもなります。


                                                                                               質問に戻る


Q18 銀行の担当者は転勤等でよく交代しますが、中にはムシの好かない人、能力面でどうかと思われる人など当社にとってマイナス効果しかないと思われる人がいます。こういう人にはどう対応すればよいのでしょうか?

A18 銀行の担当者は、自社と銀行をつなぐ窓口となる人です。

ご質問にあるような、自社にとってマイナス効果しかないと思われる人でも、その人をないがしろにしたり、或いは無視して自社が得をするようなことは何もありません。

担当者を替えてくれるよう銀行に要求しても、その担当者に余程のヘマでもない限り銀行は対応しません。

銀行の担当者は、平均すると
2~3年で転勤等で交代していきます。

ムシの好かないのは
相性の問題で、でき得るならばしばらくの間辛抱されてはいかがでしょうか。

また銀行の担当者には、融資能力のない人も結構います。

融資能力が著しく欠けていれば、他社でも苦情があって、そのような人は自然に淘汰されていくものですが、自社の担当者の
融資能力をよく見極める必要があります。

その上で、自社の担当者が頼りない、或いは不安だと思われるのであれば、担当者とその上司との二人三脚体制をとってもらうよう仕向けてみてはいかがでしょうか。

                                                                                                                       ↑質問に戻る


Q19 銀行の担当者にはノルマがあって、3月・9月の決算月等に様々な項目(投資信託やクレジットカードなど)の協力要請があります。これにはどう対応していけばよいでしょうか?

A19 結論を申しますと、自社にとって負担が大きくならない程度に、ほどほどに付き合っていくことが大事だと思います。

ご質問のケースで、借入先の対応として、2とおりの極端なタイプが考えられます。

まず協力要請を断れば今後の融資に悪影響がでてくると思って、何でもかでも受け入れるタイプです。

銀行の担当者は、こういう先を甘くみます。そして自分のノルマを消化しなければならなくなると、相手先のニーズにはおかまいなく、押し込み販売をしてきます。


もう一方のタイプは、反対に、協力要請があっても
全て拒否する先です。

「ウチは融資だけしてくれればいいんだ。余計なものは要らん。」と突っぱねるのですが、銀行の担当者も人の子です。こういった先に対しては、力が入りません。

要は、自社として受け入れられるものと受け入れられないものを明確にして、
ギブアンドテイクの精神で付き合っていくことです。

                                                                                               質問に戻る


Q20 銀行の担当者やその上司の方も、転勤や最近では支店の統廃合などで本当によく交代されます。慣れてきて当社のこともよくわかってもらってきたなと思った頃に交代します。
また一からかと思うこともしばしばですが、何かよい対策はありますか?

A20 担当者が交代して、自社のことをよく認識してもらう絶好の時は、融資案件が起こって、融資審査の稟議書を作成する時です。

それが早い時期に発生すればよいのですが、案件がなかなか起こらない時はどうするのかということになります。


それについては、自社の業績や銀行取引の推移、その他自社内の重要事項の変化等をこまめに書類で銀行に報告、提出するようにしましょう。

口頭ではダメです。すぐに忘れられてしまいます。

銀行は書類主義で、自社の融資審査のための
稟議書ファイルというものが必ずあります。

上記のような借入先からの提出書類は、案件発生時であれば担当者は有難がってすぐ読んで、借入先のことをよく認識することになります。

また案件が発生していなくて、すぐ読まれなくても、そういった書類は
破棄されることなく稟議書ファイルに綴り込まれます。

しかも、こまめに書類を提出するような先は少ないため、担当者の目にも留まって、担当者はよく読むようになります。

こういった平生の
こまめな努力が、いざという時に実を結びます。

                                                                                                                      ↑質問に戻る


Q21 銀行から借りたいときに借りたいだけ融資を受けるために ~ 
                                                                         具体的ポイント その1


A21   『資金が必要になったとき、タイミングをはずさずに、希望額をすっと借りられるための方策
  とは、どのようなものなのか?』を発信していきます。

 全部で8項目あります。よろしくお付き合いください。

 まず1項目めは、
[決算書対策]です。


 現在の銀行融資制度においては、申し込み企業の
決算書の内容によって、融資可否の
  70%~80%が決定されるといわれています。


 業況・財務内容ともに優良な企業には、取引している銀行が競い合って、良い融資条件を
  引っさげて、「いつでも、必要なだけ使ってください」と売り込みに来ます。

 そういった優良先は、ほんの一握りなのですが、とにもかくにも企業は自社の決算書の
 評価が上がるように、対策を講じていかなければなりません。


 平成11年の『金融検査マニュアル』の制定以後、銀行融資に
‘信用格付・債務者区分’
  といった新たな概念が登場しました。

 それに基づいて銀行は、融資先企業から決算書が提出されますと、まず
‘定量分析’
  
(決算書に記載されている数値の比率分析等)を行ない、その上で代表者個人の資質、
  企業の販売力・技術力などを加味した‘定性分析’を行ないます。


 そして、
その総合的評価の結果をもって企業を格付し、その企業に対する融資方針や金利
  などを決めているわけです。


  したがって、この格付において大きなウエイトを占める定量分析で、少しでも高い評価を得る
  ために、決算書の数値から算出される財務比率の向上に企業は努力しなければならない
 のですが、そのためには以下の10項目の勘定科目を改善していくことが必要です。

    
1.売上高                       より 大きく
    2.営業利益                    より 大きく
    3.経常利益                    より 大きく
    4.当期税引き後利益       より 大きく
    5.総資産                       より 小さく
    6.自己資本                    より 大きく
    7.短期借入金                 より 小さく
    8.長期借入金                 より 小さく
    9.受取利息・配当金         より 大きく
    10. 支払利息・割引料        より 小さく


 このように、言葉で表すのは簡単なことなのですが、現実問題として、これらの数値を向上
 させていくのは、並大抵のことではありません。

 できることから、また重要なことから優先順位をつけて、とにかく一歩を踏み出してください。

 手をこまねいていても事態は好転しません。


 以上のような決算書対策の締めくくりとして、融資を受けやすい決算書の条件はというと、
 つぎのようなことがいえます。

   
・利益がでている (黒字である)
   ・債務超過でない (資産超過である)
   ・借入金が少ない (自己資本比率が良好)
   ・不良資産がない (売掛金の焦げつきや不良在庫がない)


                                                                                                                      ↑質問に戻る


Q22 銀行から借りたいときに借りたいだけ融資を受けるために ~ 
                                                                         具体的ポイント その2


A22  表題の2つめのポイントは、「業況等の定期的報告と提出書類」についてです。


 日頃から銀行との接触を密にして、自社の業況や資金繰り計画を定期的に報告して
  おくことは、イザというときのためにきわめて有効です。

 常日頃は何の接触も持とうとせず、用事のある時、すなわち融資を受けたいときだけ
  銀行に出向く、あるいは銀行の担当者に来社を乞うというようでは努力不足です。

 できれば3ヶ月おきぐらいに、
   
 ・月次の試算表
    ・資金繰り計画表
    ・金融機関取引一覧表

 の3点を、
できれば説明もして提出するようにしましょう。

 説明できなくても、提出されたこれらの資料は、自社の稟議書ファイルに綴り込まれます。

 まちがっても、捨てられるということはありません。

 そして折に触れ、銀行の担当者もこれらの書類に目を通すことになり、それによって
  自社の現状、業況の推移、当面の資金需要等が認識されるということにつながるわけ
  です。

 もちろん銀行に出向いた際、担当者や上司の方に口頭での説明ができていれば
  言うことなしですが、説明できなくても効果は十分ありますので、ご心配無用です。

 
こうした小まめな努力が、イザという時、ものをいってくるのです。

 すなわち、融資の申し込みをした際に、即対応してもらえるということになるわけです。

 しかし、こういった努力が何もなく、自然な流れにまかせていますと、銀行との接触に
  空白期間が生まれます。

 そして、それが長引きますと疎遠になり、イザという時、非常に困るわけです。


 以上が、今後の融資申し込みに備えての日常の努力ですが、イザ融資申し込みが
  発生した際、ケースバイケースで銀行の担当者から資料を要求されることがあります。

 担当者が自社の融資稟議書を作成する段階で、あるいは本部審査部からの質問に
  対する回答をする上で、必要に迫られるものですが、自社で文書を作成しなければ
  ならない際の注意点は、

  
・稟議を早くとおしてもらう、融資承認の返事を早くもらうため、資料提出
   の要請には、素早く対応する

  ・文章はダラダラと長文にならないよう、表や数字で簡潔明瞭に箇条書き
   で作成する


 というようなことです。

 今、銀行の担当者は、たくさんの担当先を抱える一方で、銀行内においては残業時間の
  カット、自宅へ顧客の資料を持ち帰れない、などの制約があって勤務時間内で効率よく
  仕事をこなさなければならない状況にあります。

 そういう時に、
顧客に提出依頼した資料がサッともらえると、俄然ヤル気が起こってきて、
  稟議書の作成もはかどるというものです。



                                                                                                                      ↑質問に戻る


Q23 銀行から借りたいときに借りたいだけ融資を受けるために ~ 
                                                                         具体的ポイント その3


A23  表題の3つめのポイントは、「銀行の担当者との付き合い方」についてです。


 銀行との融資取引におきましては、銀行の担当者が自社の窓口になります。

 したがいまして、その
担当者と良好な人間関係を保っておくことは、借りたいときにタイミング
  を失せずに借りるための、きわめて有効な方策だといえます。

 銀行の担当者が、自社のために行なってくれる具体的な行動は、

 ○融資の申し込みを受け付けて、銀行内部の融資案件として組み立てる

 ○自社が申し込んだ融資案件を、本番の手続きに先立って検討する銀行内部の
  「事前協議会」でゴーサインがでれば、融資承認を得るための稟議書を作成する

 ○稟議書が自分の手元を離れた後は、銀行内部で自社の立場に立って説明してくれる

 などで、
心強い自社の味方となるわけです。

 
 ところで、銀行の担当者には通常、様々な営業ノルマが半期(6ヶ月)ごとに課せられます。

 たとえば、投資信託・生命保険・保証協会付融資………などなどです。

 皆さんも経験がおありでしょうが、銀行の担当者は折にふれ、これらのノルマを消化する
  ため、様々な項目のセールスないしお願いに来ますよね。

 そういった際の、皆さんの対応はいかがでしょうか?

 担当者が何らかの売り込みに来た際、
自社として無理をせず受け入れられるものである
  ならば、契約してあげるのです。


 そうしますと、担当者も普通の感覚の持ち主であれば、
「今度この会社から融資の申し込み
  
があれば、お役に立てるよう頑張らないといけないな」と思います。

 これが後々効いてくるわけです。

 要するに、
銀行の担当者は、銀行内部で自社に貢献する役割りを果たしてくれる人物です。

 したがいまして、こういった‘
ギブ’がありますと、担当者も大なり小なり感謝の気持ちや
  プレッシャーも感じていますので、イザというときの‘
テイク’が期待できるのです。



                                                                                                                      ↑質問に戻る


Q24 銀行から借りたいときに借りたいだけ融資を受けるために ~ 
                                                                         具体的ポイント その4


A24  表題の4つめのポイントは、「返済能力と借入限度額」についてです。

 
 
借入期間が1年以上で、毎月返済する借入金の返済原資は、[当期純利益+減価償却費]
 (キャッシュフローといわれるもの)です。


 自社の長期借入金残高を、このキャッッシュフローで割り算してみてください。

 その答が5年~7年であれば、御社の長期借入金の返済能力は合格といえます。

 言い換えれば、収益力と長期借入金のバランスがとれているわけです。

 
 しかし、現実的にはそのような合格ラインにある企業は、ごく少数です。

 ほとんどの企業においては、上記の割り算をすると、答えである返済年数は10年を
  超えて いたり、ひどければ30年であったりします。

 すなわち、‘返済能力に大いに疑問あり’ということになるわけですが、にもかかわらず、
  融資申し込み企業の業績が極端に落ち込んでおらず、長期借入金の返済がある程度
  進んでいれば、申し込みを受けた金融機関は‘折り返し融資’に応じてきました。

 金融機関と顧客企業の暗黙の了解のもと、長年の慣例として行なわれてきたところ
  ですが、将来的には何ら保証されたものではなく、企業側の業況面をはじめとした
  変化要因、また銀行側の事情によっても、
「今まではとにかくやってこれたが、今後に
  
ついては応じられない」、といったケースも当然あり得るわけで、その辺の認識は大事です。


 つぎに、企業側から銀行員に対しての質問で、よく聞かれるのに、
「ウチ(当社)の借入枠
  はいくらですか?」

  というものがあります。

 これに対する回答としては、
「あらかじめ決まったものはありません」
 と言うしかありません。

 たとえば、企業が銀行に差入れている不動産担保の担保力が1億円だとした場合、
  銀行は企業から申し込みがあって、借入残高が1億円までならいつでも融資をするか
  というと、そのようなことはありません。

 担保力のみが、融資決定の要因ではないからで、企業の業況や、申し込みの資金使途
  (資金の使いみち)など諸々が絡んできます。

 したがって、担保力の範囲内であっても、申し込まれた融資をお断りする場合があります。

 ところが、顧客企業には、そのような認識は通常ありません。

 担保力の範囲内なら、いつでも申し込みに応じてくれるものと認識されています。

 この辺の認識の相違は、現実的によくあります。


 あらかじめ決まった融資枠があるとすれば、企業側からの申し込みが頻繁にあった場合、
  対応が大変なので、向こう6ヶ月とかの期間、短期融資(手形貸付とか当座貸越など )
  5、000万円の枠を設ける、といったようなケースです。

 これであれば、その期間内、その上限枠の範囲内ならば、約定契約にもとづいて企業は
  自由に融資に応じてもらえます。


 さて、
こういった融資枠とは異なる意味の、‘自社の借入限度額’といったものを企業は
  心得えておかなければなりません。

 
取引金融機関全体の長・短期借入金合計額が、このラインを超えると危険水域だという
  限度額です。

 それを判断する基準には、以下のようなものがあります。

 1.年間キャッシュフローの10倍以内
   言い方をかえると、
現状のキャッシュフローでの返済年数が10年以内
   であるということですが、この10年以内という基準は、債務者区分が
   正常先にとどまる一つの基準でもあります

 2.借入金月商倍率
   
借入残高が通常、月商の3倍以内、製造業の場合は6ヶ月以内
   
 3.借入金依存度
   
借入残高が総資本額の50%以内

 長・短期借入金合計額が、これらの基準を超えると、
債務過多といわれ、返済能力が
  でこない、危険なゾーンに入っているということになります。


 中小零細といわれる企業は、もともとのの出発点が少額の資本金であるのが一般的です。

 したがって、企業活動が軌道に乗ってくると、資金調達は他人資本への依存度が大きく
  ならざるを得ない、「カネは足りなければ借りる、借りるしかないじゃないか」という理屈に
  なってくるのでしょうが、
安易な借入依存は結果的には自社の命取りとなり得ます。

 危険水域を既に越えていて、なお借入金に依存しなければならない場合、今一度踏み
  とどまって、今後の事業展開・計画を借入金の返済とからめてじっくりと考えてみる必要が
  あります。

 自社なりの「ここまで」という線を決めておく、また、それにこだわる姿勢が、こと借入金に
  ついては不可欠なことだと思います。

 
自社の借入総額が危険水域ラインに対して目一杯の状況か、あるいはまだ余力があるかと
  いうことと、さらに銀行別の自社の担保力と長・短期借入金のバランスを把握しておくことは
  重要です。

 「この銀行は、無担保で△△百万円まで支援してくれている」とか、逆に「この銀行は、
  いくら突っついても担保力までだな」といった取引状況の把握です。

 借りたいときに借りたいだけ融資を受けるために、
自社のポジション(位置づけ)を常に
  把握しておきましょう。

 それによって、思惑どおりの融資を受けられそうだとか、あるいは、「見通しとしては悪いな」、
  という判断が前もって出来るわけです。



                                                                                                                      ↑質問に戻る


Q25 銀行から借りたいときに借りたいだけ融資を受けるために ~ 
                                                                         具体的ポイント その5


A25  表題の5つめのポイントは、「妥当な申し込み金額の算定」についてです。

 企業が銀行に融資を申し込むということは、資金需要があるわけですが、その金額が銀行
  サイドからみて、
「うむ、なるほどこれくらいは必要だな」と判断されなければなりません。

 企業によっては、本当の必要額を大きく上まわる金額で申し込みをされるケースがあります。

 「この際、できるだけ多く借り入れて、余剰金は手元でプールしておこう」との腹づもりで
  申し込まれるのでしょうが、少しは余裕をみる必要はあるかと思いますが、この考え方は
  まちがっているように思います。

 借金は必要最小限にとどめるのが、賢い人のやり方です。

 国金に申し込まれる際、「今までの例からすると、どうせ減額されるだろうから、そのへんを
  先読みして余分めに申し込んでおこう」というようなことをよく聞きます。

 両者は似た話のようですが、申し込み時の目的が違います。

 いずれにせよ、
借金は少ないにこしたことはないと思います。


 つぎに、これはたまに聞く話ですが、「今のところ、さし迫った必要はないのだが、ともかく
  融資を申し込んで、カネを手にした上で次の事業展開を考えようと思う」というお考えの
  方がいらっしゃいます。

 このお考えは、順序が逆です。

 これでは、真っ当な銀行からは融資は引き出せません。

 
融資の筋道は、「当社では今、こういう事業計画を立てており、ついては、こういった資金
  使途で○○百万円の融資をお願いしたい」という内容をもって申し込みをし、そして銀行が
  提出を受けた事業計画の内容等を検討し、返済能力に問題なしと判断すれば承認する、
  という流れです。

 認識まちがいをおこされないよう、ご注意ください。


 つぎに、資金使途別にもう少し突っ込んで、今回のテーマについて検討してみましょう。

  設備資金、増加運転資金、賞与・決算納税資金などは申し込み金額の裏づけとなる数字や
  算式があります。

 
アバウトなのが、経常運転資金といわれるものです。

 特定の目的をもった資金ではないのですが、企業がまわっていくためには、必要不可欠な
  資金です。

 これは、
資金繰り計画表で指し示すことです。

 「ご覧のように、この▲▲月ごろには資金は底をつきますので、■■円のご支援をお願い
  します」といった説明です。


 以上、今回は融資申し込み金額の妥当性について述べてきました。

 
幾分かの余裕をみる必要はあるかと思いますが、多ければよいというものではありません。

 金額の算定があまりにもいい加減だと、企業レベルを疑われかねません。

 
企業努力により、できるだけ少ない金額ですませられるのが、理想的だと思います。



                                                                                                                      ↑質問に戻る


Q26 銀行から借りたいときに借りたいだけ融資を受けるために ~ 
                                                                         具体的ポイント その6


A26  表題の6つめのポイントは、「早めの申し込み(申し込みの時期)」についてです。

 「いつ、いくらカネが必要だ」の‘
いつ’というタイミングをはずさないためには、早めの対策が
  必要です。

 どのようなアクシデントが起こるかもしれませんし、申し込み時期が銀行の繁忙期(3月、
  9月の決算月や年末など)に重なると、案件の内容次第では迷惑がられ、審査を先送り
  されることにもなりかねません。

 また申し込み案件が、過去幾度となく実行してもらった内容のものであるし、申し込んでから
  承認されるまで、そんなに時間はかからないだろう、とタカをくくっていると、思わぬところに
  落とし穴があるかもしれません。

 御社をみる銀行の目は、常に一定であるとはかぎりません。

 たとえば、債務者区分が正常先→要注意先、要注意先→破たん懸念先といったようにランク
  ダウンしているかもしれません。

 もし、そうだとしたら、今までのペースで申し込みをしていると、スムーズに進行しないことも
  予測されます。

 それなりの対応策をもってかからないと、融資実行はおぼつかないという事態になりかね
  ません。
 

 もう一つ、申し込み案件の審査をスムーズに進めてもらうためには、
資金繰り表(6ヶ月~
  1年の計画)が有効な手立てになります。


 これを折りにふれ、銀行の担当者に示しておくのです。

 
「先行き自社の資金需要は○○月頃に発生します。
  その節は、よろしくお願いしますよ」


 という具合に根回ししておくと、イザという時には効き目がでてきます。

 特に、支払手形を発行しているような企業にとっては、「この融資が実行されないと、
  支払手形の決済ができない」といったような、待ったなしの場合があります。

 そういったリスクを回避するためにも、‘
資金が絶対に必要な日’から‘銀行に融資を申し
  込んでから承認されるまでに要する日数’を余裕をみて逆算してみることが大切です。


 私の銀行員時代の経験から申しますと、お客さんが時間の余裕をみて(資金の必要な日
  までに時間的余裕がある)融資の申し込みをしてくれた場合、率直に「うれしい」と思いました。

 他のお客さんの案件ともからめ、自分の仕事に余裕をもって取り組めるからです。

 反対に、申し込みから資金の必要な日まで時間的余裕がないお客さんに対しては、
  「なんで、いつもギリギリなんだ?」と腹立たしい気分になり、また、そういった先ほど、
  稟議の進み具合も難航しますので、「順調に進むと思っているのか?」とも思いました。


 
融資を申し込んでから銀行側の結論がでるのを、余裕をもって待てるよう、「申し込み時期は
  早めに」を心がけましょう。

 
まったく想定していなかった、どのようなアクシデントが起こるやも知れません。

 その時にあわてないためにも、そして
次の一手が素早く打てるためにも、早目のアクション
  必要です。



                                                                                                                      ↑質問に戻る


Q27 銀行から借りたいときに借りたいだけ融資を受けるために ~ 
                                                                         具体的ポイント その7


A27  今回のポイントは、「不意の入用」で資金需要が発生した場合の対応についてです。

 企業経営を続けておられますと、事前に予測できない、
「不測の事態発生」といったことが
  たまに起こります。

 具体的に考えてみますと、
  イ.集中豪雨・台風などの天候の影響、または地震など、
    まったくのアクシデントと呼べるもの

  ロ.得意先の倒産などによる売掛債権の回収不能

  ハ.その他業務上のトラブルによる資金繰り上の支障発生
    (例えば、商標権に係わる訴訟、社員による使い込みなど)

 ざっと以上のような内容が考えられます。

 イとロについては国の金融支援策として、「セーフティネット保証制度」などが用意されて
  いますので、そちらを優先的にご利用されるとよいと思います。

 取引銀行に、こういった種類の保証付融資を申し込まれた際、よほどの問題がなければ
  通常、スムーズに手続きが進むと思われますが、一つ気になるのは得意先の破たんによる
  売掛債権回収不能の場合です。

 「事故といえば事故なのですが、ある日突然の出来事ではなく、破たんに至るまでには、
  それなりの兆候はあったはずで、御社はそれにまったく気付かなかったのですか?」

 と銀行員なら思うところです。

 得意先に対する与信管理能力に疑問符を付けられかねないので、ご注意ください。


 今回のテーマである「不意の資金需要発生」につきましては、銀行サイドからみると、
  好ましい内容や経緯(いきさつ)のものはなく、

  
・本当にやむを得ないなと思えること

  ・「御社にもそのような事態になった責任の一端はあるんじゃないの」
   と思えること


 の二通りに分かれると思います。

 それでなくても、
銀行は急な融資申し込みを嫌がります。

 そうした中で、融資の申し込みをした銀行に
「この先の申し出なら仕方がないな」と思って
  もらえるかどうか、それには日頃の付き合い方が大きくモノをいってきます。



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Q28 銀行から借りたいときに借りたいだけ融資を受けるために ~ 
                                                                         具体的ポイント その8


A28   シリーズでお話ししてきました、「銀行から借りたいときに借りたいだけ融資を受けるため
  に」は、今回がいよいよ最終回で、今回のポイントは
『返済方法に注意しましょう』
 
です。

 銀行に融資を申し込んだ際、「とにかく希望する金額が借りられたらいいんだ」という考えで、
  その融資の返済期間については、あまり関心を持っておられない方が多いように思います。

 しかし、
申し込みをした融資の使途(使いみち)と自社の返済能力から、妥当な返済期間が
  設定されていないと、のちのち問題が発生してきて、将来、借りたいときに借りられなくなる
  事態が発生することも考えられます。

 融資の返済原資は、大雑把に分けますと「売上金」か「キャッシュフロー」(税引後純利益+
  減価償却費)で、1年以内の短期資金の返済は売上金、1年を超える長期資金の返済
  原資はキャッシュフローで、ということになります。

 融資の返済期間は、使途(使いみち)に関係なく、資金繰りが楽になるからと、長ければ
  長いほど良い、というものではありません。

 使途(使いみち)に見合った返済原資を充当することによって、企業の資金繰りは正常に
  回っていくものです。

 たとえば、1ヶ月後に確実に入金になる資金の‘つなぎ資金’を銀行に言葉巧みに偽って
  長期資金で借りたとします。

 そうすると、返済原資はキャッシュフローです。

 1ヵ月後に、つないでもらった資金が入金になりました。

 本来なら、この入金になった資金で返済するところなのですが、ウソをついて銀行
  には長期資金にしてもらっていますので、すぐに返済する必要がありません。

 したがって、一時的に資金余裕がでてきて、何かしら儲かったような気分になり、多少は
  気も大きくなります。

 人間は易きに流れやすいもので、そのような状態では冗費(むだづかい)なども発生し
  やすく、のちのち「あの時の浮いたカネは、何に使ったんだっけ?」といったことにもなり
  かねません。

 
 もう一つ、ビジネスローンです。

 過去、メガバンクがビジネスローンを売りまくった際、5,000万円くらいを最長5年の
  返済期間で借りられた企業も、けっこう多いのではないかと思います。

 すると、月々の返済元金は80万円強、元利合計で100万円前後になります。

 企業の規模や収益力等で一概にはいえませんが、たいていの小さな会社にとっては
  楽な返済ではないはずです。

 年間返済額は、その企業の返済能力(税引後純利益+キャッシュフロー)を超えている
  ケースも多いと思います。

 ところが、決算書数期分を預けたメガバンクから、思いがけず予想していた金額以上を
  貸してくれるといってきた、

 「それならこの際借りておこうか、返済はシンドイけれど何とかなっていくだろう、ある
  程度返済が進んだところでまた借りればいいし」

 といった調子で借入に踏み切られたのでしょうが、
時間の経過とともに思惑がずれて
  きます。

 
近年、諸々の要因で、小さな会社に影響をおよぼす全般的な景気動向は下降線を
  たどり、たいていの企業においては収益力が低下して、決算書の内容も悪化しています。

 その結果、小さな会社の倒産件数も増加してきており、それを背景として、メガバンクに
  おいてはビジネスローンを廃止したり、審査面を強化しています。

 そうなってくると、ある程度返済が進んだので、ビジネスローンの追加融資を受けようと
  思って、審査を強化した銀行に自社の悪化した決算書を提出しても、思惑どおりの融資を
  受けられないという事態になってくるわけです。


 以上、今回のポイントは、借入時には

 
・資金使途(使いみち)に見合った返済原資がある
 ・借りられたら、返済方法はどうでもよい、というものではない
 ・手っ取り早く、簡単に借りられるモノには落とし穴がある

 
 というようなことです。

 ご留意ください。



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Q29 銀行への融資申し込みから実行までの注意点
                                                                        


A29   銀行に融資の申し込みをした場合、それを受け付けた銀行の担当者の反応は様々です。

 申し込みをした企業の業況、財務内容、取引仕振りなどが一つの要因としてあり、
  それと申し込みがなされた融資案件の内容がミックスされて、担当者の反応にでる
 難易度が異なってくるわけです。

 業況順調で財務内容は特に問題なし、そして取引仕振りが良好な先が申し込んだ案件
 ならば、その内容に余ほどの問題点がないかぎり、すんなりと承認されるでしょうし、
 それを見越した担当者の反応も明るく、「大丈夫、任せておいてください」と思わず胸を
 たたいてしまいたくなる、あるいは本当にそういった言動に到る人がいるかもしれません。

 しかし、もしそうであったとしても、安易にそういった言動を信じてはいけません。

 もっとも、銀行の担当者もこのへんのことについては、「融資予約厳禁」、「融資の申し込み
 を受けた場合、顧客に対し安易に期待をもたせるような返事をしてはならない」など、
 常々教育されているのですが、中には暴走して自分で自分の首を絞めてしまう人もいます。

 賢明な担当者なら、「精いっぱい頑張って、ご期待にそえるよう努力してみますが、正式に
 ご返事させていただくまで、しばらく時間をください」ぐらいの回答を、その場でするはずです。

 
稟議書が作成され、決裁権限者の承認を経た上での銀行からの回答こそが唯一の正式な
 返事なのであって、それまでは決して安心できないということです。



 
現在のような厳しい経営環境下、銀行の融資姿勢はシビアーになっていて、審査に要する
 時間は従来より長くかかっていることを企業サイドも頭に入れておかなくてはなりません。

 自社の現状、銀行との取引状況、また銀行の台所事情などを考えれば、例年幾度となく
 実行してもらっている案件だからといって、タカをくくってはいけないのです。

 自社サイドでは思いも及ばないことが、銀行内部では重要な検討事項になっているかも
 しれません。
 (例えば、自社の信用格付けのランクダウン、決算書の細部への追求など)

 融資の申し込みをしたら、一刻も早く可否の返事を聞きたい、できたらOKの返事を、という
 企業側関係者の気持ちは痛いほど理解できるのですが、結論をいえば「急がば回れ」です。

 
申し込みを受け付けてくれた担当者の言動に一喜一憂せず、何としても申込案件の承認を
 一刻も早くとってもらえるよう、企業側もそれに向けて努力しなくてはなりません。




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